日常 EDテーマ 『Zzz』
OPテーマ『ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C』に続いてEDテーマもご紹介します。
タイトルに相応しい眠気を誘う曲調で、どこか懐古的にも感じます。OP同様、いい曲です。
『Zzz』
作詞・作曲・編曲:前山田 健一
キーはDb。ラストで半音上がってDになります。
<イントロ>
|DbM7 GbM7|Ab Adim|Bbm7 Ebm7|Ab7sus4 Ab7| |DbM7 |Bbb Cb |
IのDbM7で始まり、強進行してIVのGbM7へ。そのままVのAbへと続くなんの変哲もない進行。
Adimは前のAbにセブンスを付けてルートを半音上げたコードであり、
次のBbm7へ続くパッシングコードです。
Bbm7→Ebm7→Ab7は、Abをトニックに見立てた場合のツーファイブとなります。
ドミナントであるAb7からトニックDbM7へ戻り、サブドミナントマイナーのBbbとCbへ進行します。
この進行・・・ポピュラー音楽では見慣れないダブルフラットが出てきて驚かれるかもしれませんが、
音の並びだけで言えば、要はAとBです。
ただ和声機能的に考える場合、AやBという表記だと混乱を招きます。
<A>
|DbM7 GbM7|Ab Adim |Bbm7 Ebm7 |Absus4 Ab | |DbM7 GbM7|Ab Adim |Bbm7 Ebm7 |Ab7sus4 Ab7 DbM7| |DbM7 GbM7|Ab Adim |Bbm7 Ebm7 |Absus4 Ab | |DbM7 GbM7|Adim Bbm7|Ebm7 Ab7sus4 Ab7|Dbsus4 DbM7|
イントロ最後のサブドミマイナーからDbM7へ、セオリー通りに進行。
基本的にはイントロのコード進行と同じですね。
注目していただきたいのは4段目の14〜16小節目。
1〜3段目の部分と比べて、コードが1つずつズレていることに気が付くと思います。
おそらくは最後の16小節目をトニックで埋めて十分な終止感を得るために、
今までの流れ通りならば14小節目に出てくるはずのAbのコードを削り、
その空いたスペースを後ろからグッと詰められたような形になっています。
少しズレただけなのに、まるで違う進行のように聴こえるから面白いものです。
<B>
|Bbm7|BbmM7/A|Bbm7/Ab|Bbm6/G| |Ebm7|Ebm7 |Ab7sus4 |Ab7 |
1〜4小節部分はベース音を半音順次下降させる典型的なクリシェ進行ですね。
5〜6小節と7〜8小節は、大きく括ってそれぞれサブドミナントとドミナント。
<サビ>
|DbM7 GbM7|Adim Bbm7|Ebm7 Ab7|DbM7 | |Cm7(-5) Adim |Bbm7 Ab Eb/G|Ebm7 |Ab7 | |DbM7 |Dbsus4 |DbM7 |% A|
1段目は、<A>パート4段目とよく似た進行です。
5小節目のCm7(-5)とAdimは構成音が酷似しています(BbかBbbかの違いだけ)。
Xm7(-5)のコードはハーフディミニッシュとも呼ばれるくらいですし、
ここは大きくディミニッシュコードと捉えて差し支えないと思います。
つまり、6小節目のBbm7へ繋がるパッシングコードとなります。
Bbm7→Abと進行した後、ここで謎のEb。こいつ・・・どこから湧いて出た?
モーダルインターチェンジでもなければ何かの代理コードというわけでもなさそうです。
が、曲を聴いてみると恐ろしいまでに自然に聴こえます。どういうことでしょう?
自分なりに、2つの解釈を考えてみました。
- 6小節目全体がキーEbに部分転調している。
6小節目の進行をキーEbで考えてみると、Vm→IV→I/IIIの進行になり、
一応納得のいく形に収まります。
このドミナントマイナーの進行はOPテーマの方でも使われていますね。
- 7小節目のEbm7と合わせて括る。
EbはキーDbにおけるドッペルドミナントに当たるので、Ab7に進行するのが自然。
しかしそこで途中にEbm7を挟むことで、サブドミナントマイナー的な雰囲気も醸し出す。
ん〜・・・苦しいですね・・・。すいません、このEbに関しては保留でお願いします。
サビ3段目はメジャー→sus4→メジャーの爽やかな進行です。
最後のAは、キーDに転調するためのドミナントになります。
<エンディング>
|DM7 GM7|A Bbdim|Bm7 Em7|Asus4 A | |DM7 GM7|Bbdim Bm7 |Em7 A7 |Dsus4 DM7| |DM7 GM7|Bbdim Bm7 |Bm7 |Em7 A7 | |Dsus4 |DM7 |
キーが半音上がってDに転調。常套手段ですね。
1段目はイントロで使われた進行、2段目以降はサビで使われた進行とほぼ同じです。
この曲のポイントは、パッシングに使われているディミニッシュコードですね。
この不安定な響きこそが、独特の眠気を誘うのです。
また、sus4コードも多用されており、爽快感も持ち合わせています。
なんともアニメのEDテーマにぴったりの曲調で、すごく気に入りました。センスを感じます。